「火車/宮部みゆき」のネタバレを詳しく紹介。重要なポイントだけを分かりやすく要約。

小説
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こんにちは、Jomaです!

今回は宮部みゆきさんの『火車』のネタバレを出来るだけ詳しくしていきます。

それでは順を追ってネタバレをしていきます。

この本は700ページほどあるので少し長くなってしまいますが、面白いのでぜひ最後までご覧ください。

個人的にはネタバレ前に一度読んでいただき面白さを味わってほしいですが…

ネタバレなしのあらすじや感想を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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あらすじ

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

内容紹介(裏表紙より)

1.もう1人の関根彰子

本間俊介(ほんま しゅんすけ)は関根彰子(せきね しょうこ)が自己破産をしたときにお世話になった法律事務所を訪ねる。

彰子が弁護士を訪ねたのは自己破産の手続きをした時だけでなく、母親が死亡した際に保険金の話を聞いた時の2回だそうだ。

弁護士に話を聞いた後、別れを告げる前に本間は関根彰子の写真を見せ「関根彰子さんは、この写真の女性ですよね?」と聞いた。

すると弁護士はこう答えた。

「この女性は、私の知っている関根彰子さんではありません。会ったこともない。誰だか知らないが、この女性は関根彰子さんではありませんよ。別人です。あなたは別の人の話をしている。」

そう、和也と交際していた彰子と自己破産をした彰子は別人だった。

じゃあ和也と交際していた偽物の彰子は誰なのか?

和也曰く、彰子(偽物)はしっかりと住民登録をしており、選挙のハガキも自宅に届いていたという。

彼女は選挙に行っている。関根彰子として、公的に。

和也から話を聞いていくうちに、偽物の彰子の行動が大胆なことから、自分が大胆なことをしても本物の彰子が何もしてこないことを分かっていたのではないかと本間は考える。

となると2つの可能性が浮かび上がってきた。

①本物の関根彰子が戸籍を売った。
②誰かが関根彰子の戸籍を奪った。

②の場合、最悪、本物の関根彰子は死んでいるかもしれない。

死亡届が出されず、遺体も発見されていない状態で。

2.関根淑子の死

偽物の彰子の正体を掴むために、本間は本物の彰子の故郷・宇都宮を訪れた。

そこで彰子の母・関根淑子が事故死をしていたことを知る。

行きつけの居酒屋の階段から落ちて死亡し、当時は新聞にも取り上げられたそうだ。

本間はこれが事故死ではなく偽物の関根彰子による殺人だと考えていた。

その後、本物の彰子の幼なじみの本多保に会うことが出来た。

保の妻にも会うことができ、当初事故現場にいた妻の発言で野次馬の中に1人サングラスをかけた怪しい女がいたことを知る。

保が関根淑子の事故の担当刑事と知り合いだったことから、その刑事に話を聞けることになった。

刑事に話を聞くと、当時の状況や淑子が死をほのめかす発言をしていたことから他殺は無いだろうと言われ、同業者の判断ということもあり本間も納得した。

保は当時、娘の彰子(本物)が母の淑子を殺したのではと疑っていたが、本人にもアリバイがあった。

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3.偽物の関根彰子の正体

調査を続けているうちに偽物の関根彰子の正体が少しずつ明らかになっていく。

和也と交際していた頃に偽物の彰子が住んでいた部屋のアルバムから、家の写真を見つけた。

和也との写真が大半を占める中で、一枚だけ関係の無さそうな写真だったので、本間はカギを握るのではないかと思い抜き出した。

その写真には球場のライトが映っており、その特徴から今は球場として使われていない場所でモデルハウスの展示会で展示された家だと特定。

その家を展示していた会社に行ったところ、パンフレットに見覚えのあるロゴを見つける。

以前、本物の彰子が住んでいたマンションを訪れた際に置いてあったダンボールと同じロゴだった。

本物の彰子は急に仕事をやめ、大家に相談せず置手紙だけで家を出ていってしまったので、大家が荷物を残しておいたのだ。

やっと見つけた本物の彰子と偽物の彰子の共通点。

本間はその会社に行くことにした。

調査を進めるときに、本間はあえて警察の身分を隠していたため門前払いをされてしまったが、偽物の彰子の写真を見せた時に顔色が変わった人物が一人いた。

そして会社を出た後、その人はこっそり後をつけてきた。

気づいていた本間はそいつを捕まる。

片瀬秀樹。

片瀬は偽物の彰子の上司だった。

カフェで待ってくれと言わた1時間後、片瀬はコピー用紙を持って現れた。

履歴書を見る。

最初に見た写真と同じ女性がそこにはいた。

新城喬子(しんじょう きょうこ)。

雇用記録を見ると、喬子は関根淑子が死亡した前後で9連休を取っていた。

4.関根彰子と新城喬子の繋がり

新城喬子は女性の下着や靴下を扱っているローズラインという通販会社で働いていた。

そして関根彰子はこの会社の顧客だった。

本間は新城喬子がこの会社に勤めているときに、関根彰子の個人データを盗んだのではないかと疑っていた。

実際ローズラインでは紙媒体でアンケートを実施しており、その情報をコンピューターに入力する必要がある。

ただ、どれだけ聞いても片瀬は「あり得ない」と言う。

第一にシステムが厳重であること。

一般社員だった新城喬子が触れることができるはずもなく、本人もコンピューターには全くの素人だったそうだ。

第二に新城喬子の職種は一般事務であった。

新城喬子はアンケート情報を入力できる立場ではなかった。

さらに、厳重な監視があることと、そして入力する人は忙しく協力は難しいということもあり、不可能だということだった。

実際に会社内を見せてもらい本間は納得せざるを得なかった。

5.関根彰子と新城喬子の接触

次に本間は関根彰子が働いていた時の同僚に話を聞くことに成功した。

彰子は自己破産をして数年経っていたが、いたずら電話や郵便物の荒らしに悩まされていたという。

また母・淑子が死亡し、彰子は200万程度の保険金を受け取っていた。

父を早くに無くしだが、実家も貧乏だったためお墓を買うことが出来ず、骨をお寺に預けていた。

母もなくした彰子は墓所を買おうとして、霊園の見学ツアーに参加していたと同僚は語った。

本間は以前、彰子が住んでいたマンションを訪れた際に「みどり霊園」と書いてあるパンフレットがあったことを思いだす。

みどり霊園を訪れると、ツアーでは記念の集合写真を撮っているとのことだったので、見せてもらうことにした。

若者が少ない中で、明かりが差すように目立つ彰子の笑顔。

そして、その隣には新城喬子の笑顔が並んでいた。

6.関根彰子の行方

関根彰子は殺されてしまったのか?

本間は知人の記者に、彰子が姿を消した頃に死体が見つかった事件が無いかを調べてもらった。

時期的に合う事件が1つ見つかった。

失踪の約2ヵ月後、墓地のはずれから若い女性のものと思われる左腕と胴体部分、両膝から下の部分が発見されていた。

本間は直感的にこれだと思った。

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7.新城喬子の過去

新城喬子は過去に一度離婚をしていた。

新城喬子は離婚の理由を片瀬に「若すぎてうまくいかなかった」と話していたそうだ。

本間は喬子の戸籍・除籍謄本・附票などに記載された所番地を足場にたぐってゆき、前夫の所在を突き止めた。

倉田康司。

倉田康司は三重県伊勢市では有名な倉田不動産に勤めていた。

他の不動産屋曰く、金を持っていて余裕のある不動産。

倉田の話を聞いていると、衝撃的なことを言った。

「喬子の家族は、昔、借金で一家離散してるんです」

新城喬子の場合、借金をしていたのは父親で途中ではぐれてしまったため、喬子自身が自己破産をすることができなかった。

ただ、喬子は倉田と結婚をして戸籍を変えたことで取り立て屋に居場所がバレ、会社に迷惑がかかるようなことをされるようになった。

そして離婚をせざるを得なくなったのだ。

8.新城喬子の破産は予想外

関根彰子と新城喬子は同類だった。

同じものに追われていた。

新城喬子は悪質な取り立てから逃れるために、新しい身分が必要だった。

そして周到な用意の結果、関根彰子の身分を乗っ取ることに成功した。

関根彰子が自己破産していたとは知るよしもなく…

9.新城喬子のルームメイト

本間は新城喬子がローズラインに勤めていた際にルームシェアをしていたという女性を訪ねた。

彼女は当時コンピューター・オペレーターとして働いていたそうだ。

本間が女性に、新城喬子からデータを盗んでくれないかと頼まれたことがないかと聞くと、無いと即答。

ただ、同居時代に片瀬が新城喬子を家まで送ってきたことがあり、片思いだった片瀬はデータを渡しそうだと付け加えた。

その他に新城喬子のことを聞くと、料理が上手で大阪に住んでるのにも関わらず東京の新聞を取っていたことが分かった。

10.新城喬子のアリバイ

次に本間は、昔、喬子とアルバイトが一緒でローズラインを辞めるまで仲良くしていたという友人を訪ねた。

その友人によると喬子は倉田と離婚後、取り立て屋に捕まり友人のもとに逃げてきたそうだ。

その後ローズラインに就職している。

本間は喬子の友人に、過去に新城喬子の様子がおかしかったことはなかったかと尋ねた。

もちろん、関根淑子の死について探るのが狙いだった。

喬子の友人が思い出せないというので、本間はさらに日付を指定して聞いた。

すると友人は

「休暇の2日目に訪ねてきて、なぜかやけどをしていました。熱が酷くて入院をしてしまったんです。9日間の休暇はそのせいですよ。間違いありません。私が連れて行って、付き添っていたので。」

さらにこう続けた

「友達とドライブ旅行に行って、その帰りに事故に遭ったというんです。誰と旅行に行ったの、と訊いても、言えないの一点張りでした。」

おかしい…

新城喬子は関根彰子の母・淑子が死亡した時は、入院をしていた。

新城喬子は関根淑子を殺していない…

11.もう1つの可能性

本間はあることをきっかけに、紙のアンケートや注文書をコンピューター入力した後どうなるのか疑問に思った。

そして片瀬のもとへ。

どうやら紙の処分は一ヶ月サイクルで行っているらしい。

本間は片瀬に廃棄前の地下倉庫に誰が入れるのかを尋ねた。

黙る片瀬。

問い詰めると片瀬が出入りできるようで、過去に新城喬子がデータを材料としてプログラムの練習をしたいと言い、片瀬がデータを渡していた。

新城喬子に恋をしていた片瀬は利用されていたのだ。

そして片瀬もそれが引っかかっていた。

だから最初にローズラインに訪れた際、後をつけてきたのだ。

本間は片瀬を半ば脅しつつ、喬子が勤めていた時に処分前の書類数が合わなかったことが無いかを調べさせた。

片瀬は4ヵ月分のデータを新城喬子に渡していた。

本間はそのデータを全てプリントアウトするように指示。

その中の3ヶ月目に、関根彰子の名前はあった。

本間は思った

新城喬子にとって、関根彰子は何番目の候補者だったのだろう?

関根彰子は3ヶ月目に名前があるのに、新城喬子は片瀬に4ヶ月分のデータを要求している。

12.新城喬子の尻尾を掴む

関根彰子は第一候補ではなかったのだ。

誰かの身分を乗っ取ろうとしたけど、うまくいかなかった。

その時偶然、新聞で関根彰子の母・淑子の死を見て、彰子が戸籍上で孤立したことを知る。

(なぜかやけどをしてたんです。)

喬子の友人の言葉を思い出す。

新城喬子は放火をして、第一候補だった家族を殺そうとした。

だけどそれが何らかの理由で失敗した。

関根彰子へのなりすましが失敗した今、新城喬子は新たな相手を探している。

そして、その候補を1から探す必要はない…

新城喬子はおそらく、かつて失敗した第一候補のところに行く。

本間は喬子が持ち出したデータに載っている人に片っ端から電話をかけた。

数年前に火事に合った身内はいないか、その人は今どうしているか。

1人だけ該当する人物がいた。

木村こずえ。

3年前に姉が火事で植物状態になり、去年の夏亡くなったそうだ。

そして事故の日は、新城喬子がやけどを負い友人の家を訪ねた日と一致していた。

本間が聞く

「最近あなたに新しい友人はできていませんか?」

「あぁ、それならいます」

「その人の名前は?」

「新城さんです、新城喬子さん。」

当たりだ。

こずえは続ける

「姉の友達です。つい最近連絡があったばかりですが、お墓参りをしたいから案内してくれないかなって。それで今週の土曜、銀座出会う約束をしてるんです。」

13.新城喬子と対面

その日は保も付いてきた。

以前から新城喬子を見つけた時は、自分が最初に声をかけたいと言っており本間も承諾していた。

こずえが1人で座り、少し離れた場所で本間と保が待つ。

そこを横切るように、パウダーブルーのコートを着た新城喬子が通過していく。

こずえに会釈をし本間と保に背を向けるように座った。

保がゆっくりと立ち上がる。

新城喬子は何を考えているのだろうか。

その肩に今、保が手を置く。

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